※今日は18禁PCゲームの話です

※ネタバレが全くないわけではない

※真面目です


S……素晴らしい! 
A……かなり良い 
B……平均より上 
C……平均 
D……平均より下 
E……酷過ぎる 

おおよそです。
SとEはよほどのことがないと付けないと思う。 




【更新履歴】
2013/12/27 記事作成
2014/3/8 全体のランク付け直しによる総合ランクの変更




【概要】
――どの時代でも、過去でも未来でも
あやめ
発売日:2013年12月20日
MOREより発売
公式サイト



【ストーリー】
不思議な夢だった。
何もない草原の中、着物を着て寂しそうに月を見つめる少女が一人。
東京から4年ぶりに地元に戻ることになった白石哲也は、近頃 不思議な同じ夢ばかり見ていた。
地元の小賀市に戻ったが、開発が進む町は哲也の知ってるものと少し変わっていた。
小さい頃の思い出の場所が変わってしまったことに少しの寂しさを覚えると、ある夜、この街で一番好きな場所・あやめ園に向かう。
何も変わらないあやめ園に安心する哲也だったが、そこで驚きの光景を目にする。
あの夢の少女にそっくりな子が居たのだ。
古川あやめのことを知るために、彼女が所属する考古学研究会に入部する。
彼女は、知れば知るほど とんでもない人物だった。
超ゲーマーで放っておけば一日中ゲームしているし、一般常識が全然分からないし、自らを戦国時代の姫だと言う。
そして、成り行きで彼女の面倒を見ることになった哲也。
自称!? 戦国時代のお姫様・古川あやめと、小賀の町を巡る物語が始まる。



【構成】B
メインヒロインのあやめのみ他3人攻略後に攻略可能。
……なのはいいんだけど、それで選択肢にあやめ寄りのものを最初から出されると困る。
一週目で「悩むけど、あやめで行くか」と思って全部あやめ寄りの選択肢を選んだら先輩ルートに突入して戸惑った。先輩とのイベントを一個も通過せずに先輩ルートに入ったらそりゃ不自然でしかない。

フルプライスでないせいか全体的に短くコンパクトにおさまってる。
体感だとあやめ>鳴子先輩>ゆり>姫子の順に長い。



【シナリオ】B+
とにかくマッタリな進行にひたすら和む。ヒーリング系エロゲ。

・故郷に戻ると決めた時からある夢を見るようになる

・あやめ(メインヒロイン)がその夢に出てくる少女に似てる

・夢の意味を探るためにあやめと仲良くなろうとする

冷静に考えるとすごいメルヘンな主人公なのだけど実際少しメルヘンな話なので問題なかった。

テキストはあっさり目。
暗転でガンガン場面切り替わっていくし時間も飛ぶ。
(登校したと思ったら昼休みとかザラ)
でも特に描写不足には感じなかったどころか「これダルくなくていいな」まであった。
またこれによりヒロインと関わる場面が連続するのでこれも無駄がなくて悪くない。

テーマなんかもはっきりわかる上に、それに沿って話が進み「ミドルプライスなのにしっかりしてるじゃん」どころか下手なフルプライスに比べると冗長さがなく、それでいて尺に見合った内容でおさまっており非常に好感が持てました。
あやめのオープンスクールの発表会とかもう少し尺取ったっていいだろうに、と思ったけどあれはあれで各々その後の展開は脳内補完して余韻残せていいなと思ったし、中でも姫子ルートの○○○との剣道の決着を見せないのは大胆で良かった。なんでもかんでも1から100まで説明して書ききりゃいいって話じゃないんだよな。

ヒロインが最初から問題を抱えてて、それを小出しにしながら最後に解決して終了。
昨今の横やり的なシリアスに比べると相当良い。

しかし正直なところ古い臭いところは多いですよ。
テキストもさることながらネタや展開、手法までもが前時代的。
若年層ユーザーにはウケないんじゃないだろうかと思うレベル。
少なくとも最近のエロゲ論法じゃ絶対作られてない。
ラストの締め方なんか僕は好きですけど受け入れらんない人もいるんじゃ。
このへんは要体験版。



【キャラクター・個別】B+
・ユリ
予想以上に良かった。
っていうかシナリオ単価で見たときに一番良い。
家族ネタは年々弱くなってるからやめて欲しい、ずるい。


・姫子
デビュー当時から見てる身としては
「あじ先生演技かなり上手くなりましたねええええ!!!!!」に尽きる。
なおシナリオ的には一番短く、エロも一人だけ2回。


・蘭
最近は先輩キャラが好き。
これはロリ嗜好だった自分がさすがにロリに飽きてきたのと年々「ロリならなんでもいい」ではなくこだわりが強くなってきて満足のいくロリが少なってきたところで、ふと今までノーマークだった年上キャラに目を向けてみたら案外良く、しかもまだまだ未知の領域なので比較的ハードルが低いせいなのか。
でも鳴子先輩の正体と言うか、出生の秘密に関してはいかんせんピンと来ませんでした。
それがどれほどのマイナスステータスなのか今どきの感性だと「???」
まあ田舎が舞台だということを加味すれば……って感じかな。



・あやめ
メインヒロインで最後に攻略できるのだけど今までのルートの要素が入っていて好きなタイプのトゥルーでした。
なんにせよ可愛い。キナ先生原画だけあってCGもさすが。
細かい部分の説明がなされてない感はあるけど、こまけぇことはいいんだよ!で結。
ラストはニヤっとしつつも切なくなっていいですね。

個人的にはこんな感じ。

[シナリオ]
ゆり>あやめ>姫子>鳴子先輩

[キャラ]
あやめ>鳴子先輩>ゆり>姫子



【絵・演出】A
キナ先生との出会いは秋葉のアールジュ○スだった。
なんとなく友人と版画を見に行って(見に行っただけ)タペストリー眺めてたら
「なんだこの素晴らしいまでの黒髪ロングキャラは……」
http://www.artjeuness.net/artist/kazuharu/
その後、本人のサイトを見たら見事に黒髪ロング絵ばっかりで吹いた。

全然内容について語ってないけどそんな感じ。



【BGM】B+
良い曲もあるのだけど、やたら音源が安っぽい曲もあったりして落差を感じる。
まあ「音源が安っぽい」とか実際的な意味もわからず言ってるのでアレですが。
でもサントラが予約特典で付くと聞いて予約したくらいではある。



【システム】B
え、めずらしくないか……?
デフォでテキストスピードが最速になってるエロゲを誇張抜きで初めて見ました。
いや、これ普通にめずらしくないかw
思わず興奮してしまった。
ちなみに僕は最速勢です。



【エロ】B
短い……短いよ……。
ってくらいであとは必殺「でもフルプライスじゃないしなー」で済む。




【オリジナリティ】B+
いっそあるような気もしてくるけどやっぱり王道です。
でも王道も悪い意味じゃないので。



【統括】B+
あやめ
期待値/実際値:60/70

黒髪ロングはエロゲでよくある塗りだと黒髪ロング好きが求めた色合いにはなりにくい。
やっぱりちょっと派手になり、清楚さが薄れるのだけど
この作品は比較的キナ先生準拠の塗りなのでそのへんはCGにおいて満足。
塗りにまで着眼すると純正の黒髪ロングはエロゲじゃ限られるので貴重な作品。
あとパッと思い付くのってイノグレの杉菜先生のキャラくらいか。

欠点挙げるならやっぱり地味で古風な点だと思う。
これも作品に雰囲気には合ってるし明確に欠点かと言えばそうじゃないんだけど、時代の流れや需要を考えたときに「今風ではない」ってのは欠点。
実際、体験版を最初にやったときに
「正直パッとしないなー、買い控えあるかも」くらいに思ってたし。
これを「花がない」と取るか「素朴でいい」と取るかで評価は割れそう。
最近のエロゲ然とした萌えゲーに比べるとインパクトはないけども、逆に言えばごちゃごちゃは全くしてないのでまったりプレイ出来る。そういう意味じゃ今年の中でも隙間を縫った作品かなと。

総評としては「俺は好き」に落ち着く。
これは人に「良かったよ」って勧めて期待させてプレイさせる作品ではなく
なんとなしに手に取ってやってみたら思いのほか良くて
「これは売らずに手元に残しておこうかな」 と思える作品。

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