※今日は18禁PCゲームの話です

※ネタバレが全くないわけではない

※真面目です




【更新履歴】
2013/11/1 記事作成
2014/09/9 ちょっとニュアンスをいじる



【概要】
――ねぇ、はなれてても。つながってるよ
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発売日:2013/10/25
PULLTOPより発売
公式サイト



【ストーリー】
21世紀も半ばに差し掛かろうかっていう今は、まさにネットワーク全盛期と言った感じだ。
多機能通信カード『オルカ』があれば、電話やネットは言うまでもなく、
膨大な数のアプリを使えば、買い物や家電の操作もできるし、学園の授業も受けられる。

身分証や保険証なんかの証明書も『オルカ』にまとめられているし、
これ一枚に生活に関わる全てが集約されていると言っても過言じゃない。

俺、速水太陽(はやみたいよう)は、そんな『オルカ』が支える最先端都市にある
「誠進学園」で学生代表をしていた。

友人にも恵まれ、大きな問題なく日々を過ごしていたのだが……。
そんなある日、突然『オルカ』の自動更新によるバージョンアップがあった。
そして、その時のバグで一部の学生たちの『オルカ』に、
妙なアプリ『ココロファンクション』がインストールされてしまったんだ。

どうやら俺もそのうちの一人で、アプリによって「自分の心が人に聞こえる」機能を手に入れてしまったようだ。



【構成】
共通>準共通>個別
という構成になっていて各ヒロインそれぞれのルートで共通と個別の間のシナリオ(準共通)が存在しているのだけど、これがイマイチ。 

例えば朝顔ルートに行くと二番目の事件に関してはほぼ触れられずに個別に向かう。
その代わり、白草姉妹がCFC(作中の主人公率いる特殊な活動団体)に加入する際の描写が追加される。
聖、白草姉妹ルートに行けば二番目の事件に関してのエピソードがしっかり描写されるが姉妹がCFCに加入する際の描写がない。
水菜のルートに行かないと主人公たちがCFCとして活動していく導入部分が抜ける。

どう見てもあって然るべきな内容なのに断片化されてルートに振り分けられてるのはどうなんでしょ。
あと聖、姉妹の準共通がかなり文章被ってるのに既読判定されないのがしんどい。 



【シナリオ】
近未来設定でハイテクな現代劇(?)といったような感じだけどわかりやすいTIPSや作中での説明のおかげですんなり入りこめる。
将来的に「そうなりそう」と思えるような設定ばかりで素直にわくわく出来るのだけど……
「SR便利すぎ」
「オープンウィンドウ都合よすぎ」
「ナビゲーター適当チートすぎ」
などハイテクな設定の「何から何までできるか」の線引きが曖昧。

キャッチコピーである
「ねぇ、はなれてても。つながってるよ」という通り、心や人との繋がりなんかがテーマ。
ところどころで挿入される心にに関する観念的な問題提起は興味深く、心に残る台詞回しで印象深い。誰しも(主に中高で)考えたことのある部分だと思うので改めて哲学するのもいいかも。

しかし萌えゲーで友情は難しいと改めて思った。
大体のヒロインが主人公に最初から高めの好意を抱いてる時点でもうアレだし。
両者の関係で成り立ってるのではなく『物わかりの良すぎるヒロイン』しかいないだけの話で、そりゃ協力的だし、スムーズにことが運ぶ訳で。



【キャラクター・個別】
・白草姉妹
サブ枠。2人で1ルート換算なのか1人あたりのボリュームは少ない。
両ルートクリアで今度は2人を同時に攻略できる。
このへんは前作に引き続きの要素であり今後もPULLTOPの伝統になりそうな匂い。
しかし純愛勢はこの仕様に得するんだろうか。

・聖
友人以上恋人未満な位置づけでラノベなら最終的に負けが確定しているような立ち位置。
面倒くさい性格をしていてそこを気に入るかどうかが好みの分かれ目。
個人的には面倒くさい子が好きなので良かったんだけど後半で急成長しちゃって涙目。

・朝顔
実妹なので近親です。
近親物はそれなりにやってきたけど「妹は可愛いけどシナリオとしては……」というのがほとんど。朝顔ルートも例に漏れずこれ。
近親自体はいいんだけど、それに理解を示しちゃうまわりのキャラってのがどうにもね。主人公が「こんな可愛い妹が恋人だってことを自慢したい」とか言ってる時点でこの世界において近親がいかに軽い扱われ方をしているのがよくわかる。
無理に『近親肯定』の世界観を作らなくてもいいと思うんだけどな。肯定されちゃったら背徳やら禁断やらもない訳で。だから葛藤や倫理観の問題と見せかけて実のところ障害は何もないというオチ。
そもそも朝顔ルートは近親自体は大した主題ではなく、ココロファンクションの核心に迫る話である。
じゃあ妹にした意味は……とか言い出すと色んなエロゲに当てはまってしまうのでグレーゾーン。
それよか最初は毒舌系妹なんだけど個別入ってある程度進むと毒舌が消えてしまうのが非常にいただけないです。個性を一つ消すほどのデレは極端すぎるかなって。

・水菜
メインヒロイン。
話の根幹に関わるものの冒頭から引っ張られてた秘密がどうにも小規模。
ただし「それでも当人にとっては簡単なことじゃない」
ってあたりがこの作品のテーマにもなってくるのかな。
水菜はあんまり見ない良いタイプでの普通なヒロインだったのが逆に新鮮だったかも。
(キャラ自体は)結構好き。
 
魅力的で可愛いヒロイン達であるものの
かなりチョロい部類なので攻略のしがいはあまりない。
途中で主人公が人望を失うんだからもう少し抵抗してくれてよかった。



【システム】
標準よりちょい上。
右クリック&上下左右でショートカットを割り当てられるのは◎



【エロ】
9回も野外があるとはビックリですわ。
昨今の『萌えゲー+微シナリオゲー』がエロに力を入れて微抜きゲー化してる現象の例に漏れず、この作品もエロに力を入れてる。
1キャラ大体6回ずつ。他オマケ少々で全部で27回。多い。
ココロファンクションやSRなど、この作品独自の近未来設定があるんだけど、それをエロに一番活用されてる気がしてならない。 新しくはあるけどグッとくるものはなかった。



【オリジナリティ】
設定はいいのにやってること自体は普通の学園もののエロゲと大差ないのが残念。
というかここが本作の最大の欠点だと思う。
せっかく凝った舞台設定を置いて序盤に劇的なシーンを置いているのに問題提起に対する答えが良くも悪くも無難。



【その他】
小さい頃から発育が良くて、そのせいで変な目で見られることも多くあまり男性が得意でなかったけど、自分をそういう目で見ず、明るく人望に溢れる誠実な生徒会長の主人公に憧れていた……のに、ある日突然の変態化(ココロファンクションのせいで主人公が密かに考えていた変態的妄想が周囲にだだ漏れになったせい)で裏切られたように感じてしまい、主人公率いるCFCを目の敵にしつつも完全に敵視できなくて葛藤する智慧ちゃん(サブキャラ)が一番キャラが立ってると思いました。なにゆえ攻略できないんだ。
魅力的なキャラ造形なのに作中で数少ない反発勢力なせいもあって損な役回りで割食ってる。



【統括】B
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期待値/実際値:85/60

共通部分が面白くて期待しすぎた感はある。
結局のところ個別のパンチが弱かったかな。
個人が抱える悩みが小規模な割にまわりの人物が大げさに捉えて話を大きくしていたりすることが多い。
こういう話の書き方はちょっとズルいと思う。

伏線なんかを見る限り素材は凄い良かった。
水菜が主人公に「あなたも……嘘つきだったのね」と言うシーンの裏の意味なんかは深いものがあるし、「自分の心の声が周囲に聞こえてしまう」という境遇に立った主人公がそこで気づく建前と本音の着眼点なんかは特に素晴らしい。
が、そのような特殊な設定や想像力をかきたてる伏線に対してなんとも無難に仕上がってしまった印象。 
ある程度の数の萌えゲーやってるとちょっと物足りない。 



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